母の随筆&2012ローズカレンダー

昨年に引き続き、母の随筆が3席に入った。
地元新聞社が新春にと募集したもので、今回のテーマは「贈り物」。
小学校6年の時の出来事である。
掲載された随筆

タイトル  「私はシンデレラ」

私が尋常小学校に入学したのは、関東大震災の翌年の大正13年、6才の時である。
実家は西植田であったが、二人の兄が高松の学校に通っていたので、幼稚園へ上がる時に
家族の住む高松に来たのである。当時、女子の服装は着物に袴、下駄履き。かばんはなく、
布で縫った袋に教科書を入れ、肩から下げていた。髪の形は、目がつり上がるほど
きちんと束ねる束髪に厳しく決められていた。

お正月には家族一同実家で過ごすのが習わしだった。6年生の時である。
母方の叔父夫婦が何年か振りに名古屋から帰省した。両親と賑やかに話を咲かせいたが、
やおら、叔母が「これ由良さんへのお土産」、私はその場でリボンを解いた。
赤茶色の紐付きの革靴だ。白いボタンが可愛い。刺繍の入った靴下二足も入っていた。

「うわ~、街の靴屋さんを通る度に欲しい欲しいと思とったんや、叔母ちゃん有難う。」
皮独特の匂いが鼻をつく。「履いていい」、微笑みながら頷く母を横目で見ながら履いた。
生まれて初めて履く革靴、ぴったりだ。有頂天になって所構わず家の中を歩きまわった。

夜は枕元において床に就いたが、興奮のあまりその夜はなかなか寝付けなかった。
「お手つないで 野道を行けば みんな可愛い 小鳥になって 唄をうたへば 靴が鳴る
晴れたみ空に 靴が鳴る・・」自然に口ずさんでいた。

冬休みも終わり、始業式だ。通学途中、真っ先に友達が気づいた。
「うわ~靴や、どうしたん」「これな~叔母さんがお年玉にくれたん」
「えーな~、誰も履いとらんで、評判になるで」と言いつつ友達はしゃがんで私の靴を
食い入るように見ている。

案の定、学校へ着くや否や皆が寄ってきて大騒ぎになった。踏まれたり、取られたらいかんし、
私はもう心配になってかばん用の袋に詰め込んだ。その日は靴の事ばかりが気になり、
勉強どころでなかった。

革靴には、洋服が似合う。その頃女学校では和服と洋服が半々くらい、セーラー服も見受けられた。
欲しいと懇願する私に、母は見かねたのか、ネクタイが付いたワンピースとツバ付の広いリボン付の
フェルト帽子を買ってくれた。
「私はシンデレラ」、夢心地で高松の街を歩きまわった。

後日、名古屋の叔母から、当時少女向け雑誌として絶大な人気があった「少女の友」と
「少女倶楽部」が届いた。表紙絵が素晴らしく、中でも私のお気に入りは「付録」。
挿絵や詩など楽しいものばかりだった。

尋常小学校最後の年、私にとっては忘れ得ぬエポックである。
革靴、洋服、雑誌の付録類は宝物として長年大切にしていたが、空襲で灰となってしまった。

でも私の心の中で今でも鮮明に生きている。これからもずっと。


選者の評は
「あの当時の革靴、ワンピース、帽子、少女雑誌。これもうらやましいと思いながら読んでいると、
空襲で焼けてしまう。嬉しい贈り物は、今も心の中に鮮明に残っている。」であった。

年末ジャンボは残念であったが昨年に引き続き3席の入選は「贈り物。」
正月早々から縁起がいいと、ご満悦である。

今年もイングリッシュローズのカレンダーを作った。ローズはやっぱり花。
しかもアップがいい。曜日は付け足しだ。

2012ローズカレンダー
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[ 2012/01/10 15:38 ] | TB(0) | CM(8)

素敵な思い出…羨ましいです。

お母様の随筆、三席おめでとうございます。
去年の随筆も素晴らしかったです。少女の頃の素敵で、大切な思い出をお持ちですね。
NHK のカーネーションを毎朝見ていますが、大正時代のファッションにとても興味があります。
当時で皮靴、ワンピース、ツバ広の帽子…雑誌から抜け出したようだったことでしょうね。
きっと本当にシンデレラのような気持ちだったことでしょう。
羨ましいです。 
[ 2012/01/10 21:37 ] [ 編集 ]

taako3 さま

ありがとうございます。
気が向いたテーマがあった時、年に3~4回位投稿しています。
最近の事はさっぱりですが、昔のことは鮮明に覚えています。
年が行くと誰しも同じですが・・
私と二人生活ですが、まぁ、話好きで、昔の話ばかり、しかもころころ変わる。
同じ話、幾度となく、疲れるのです。
大正7年生、間もなく94歳ですが、ロマンなのでしょう。
[ 2012/01/11 14:11 ] [ 編集 ]

実は私の母も大正生まれです。たしか7年生まれです。
(父は明治42年生まれです。もう二人とも亡くなりましたが…)
生きていればROKUさんのお母様と同じくらいの年齢だったのですね。
どうぞお母様、お身体を大切になさってくださいね。
(私は5人兄弟の末子で一番上の兄とは16歳も離れています。)
[ 2012/01/11 15:25 ] [ 編集 ]

taako3 さま

そうでしたか。父は明治45年生、5年前、96歳で他界しました。
お父様ご存命なら今年103歳ですね。
長寿化、100歳を超えられる方も珍しくなくなりました。
5人兄弟ですか、当時は当たり前の時代、今なら評判物ですね。
私は3人。末っ子の長男。二人の姉に頭が上がりません。ハイ
[ 2012/01/11 20:03 ] [ 編集 ]

ローズカレンダー

時々拝見させていただき、ためになっています。

ところで、ローズカレンダーについてお伺いします。
実は家内がバラ好きなので、こういうものをクリスマスに贈ったら、喜ばれるかなと思いました。
そこでブログにあるカレンダーはどのようなものか、教えていただけないでしょうか。
ネットでチェックしてみると、アマゾンで何点か取り扱われていましたが、どうも違うようなので。
よろしくお願いします。
[ 2012/01/16 06:17 ] [ 編集 ]

ブンガラヤ さま

ご訪問いただき、ありがとうございます。
室礼も歳時記もかけだしでありまして、勉強をさせていただき
ながら、つたないブログを書いております。
ローズカレンダーは4年前から毎年作成しております。
全てイングリッシュローズです。これは知合いの方のガーデン
作りを5年前にお手伝いし、5月に咲いた写真を撮影したことがきっかけです。
昨年のカレンダーで網羅してしまいましたので、今年はその方のも
一部ありますが、最近の新種をローズ図鑑から拝借しました。
カレンダーはその方用なのです。
1月プリンセス・ミチコ
2月ヘリテージ
3月ジョン・クレア
4月ピエール・ド・ロンサール
5月ティージング・ジョージア
6月メアリーローズ
7月バーバラ・オースチン
8月グラハム・トーマス
9月エグランタイン(マサコ)
10月ウイリアム・モリス
11月ハンデンベルク
12月スブニールドラ マルメゾン
です。カレンダー用のソフトで作成しました。
今後ともよろしくお願いいたします。
[ 2012/01/16 20:33 ] [ 編集 ]

ローズカレンダー

出来合いのものではなく、自ら手作りのカレンダーだということですね。
ますます欲しくなってしまいます。
何らかの形・条件でお譲りを戴くわけにはいかないものでしょうか。
たいへん厚かましいお願いで恐縮ですが。
[ 2012/01/18 06:32 ] [ 編集 ]

ブンガラヤ さま

了解いたしました。
PCに保存しておりますので、プリントアウト
してお送りいたします。
t-roku6363@md.pikara.ne.jp
まで、メール下さい。
なお、サイズはA4です。
[ 2012/01/18 13:32 ] [ 編集 ]

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