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秋寒

湯布院紅葉

満月をあげて晩秋くれにけり(原石鼎)

十三夜も過ぎ、晩秋、10月もあと僅かとなった。
秋の天気は本当に気まぐれである。寒暖、雨と晴れを繰り返す。風も強まり木枯らしも吹き始める。
そうしながら一歩一歩季節が進み、冬になっていく。
晩秋にもなるとさすが朝晩だけではなく日中にも肌寒さを感じだす。

朝寒き水の豆腐の真つ四角 (佐野良太)
寒」、晩秋から初冬にかけての朝の寒さ。特に立冬前の寒さをいう。

うそ寒や焦げる匂ひの鍋の物 (託正夫)
うそ寒」、「うそ」とは「薄」、うすら寒い、何となく寒い、どことなく寒いという感覚的に感じる寒さ。

そぞろ寒一人で作りひとりで食べ (山崎房)
そぞろ寒」、無意識のうちに何となく寒いという感覚。

肌寒や貝にぎやかに蜆汁 (日野草城)
肌寒」、風邪でも引かないかな~と肌感覚で感じる寒さ。

やや寒や皿も温め八宝菜 (棗怜子)
やや寒」、ややは「漸」、ようやく、だんだんという意味。本格的寒さの一歩手前の寒さ。

夜寒し心いくまで鍋つつく
夜寒」、晩秋の夜分に覚える寒さ。宵寒・朝寒・雁寒

露寒の茶粥の湯気を吹きにけり (三村純也)
露寒」、露が霜になりそうな頃の寒さ。露寒し・露冴ゆる

冷まじく生簀の海老の怒りあふ (堀口星眠)
冷まじ(すさまじ)」、元々は「荒ぶ(すさぶ)」「荒む(すさむ)」の意味。予期せぬ寒さや冷たさをいう。

ぬくめしをたべてわするる寝冷かな (下村槐太)
冷やか」、手足、背中あるいは皮膚に感じる快い冷気。秋冷・朝冷え・夕冷え・雨冷


このように晩秋には多くの「寒さ」を表す季語がある。
古人は冬に向う季節の微妙な変化に敏感だった。
近年はその繊細な感覚が鈍くなってきているような気がする。
捨て去られる言葉、増える新語や造語、短縮語、言葉も乱れがちだ。
言葉は文化、大切にしたいものです。
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[ 2018/10/25 02:08 ] 季語・歳時記 | TB(0) | CM(0)

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