茶事行脚

茶事1
先月、NHK、ETV特集で「女ひとり 70歳の茶事行脚」というドキュメンタリーが放映された。
茶事行脚?初めて聞く言葉である。強い関心をもって見入った。

主人公は半澤鶴子さん。
昭和18年満州生まれ、幼いときに両親ともにいなくなり、4歳の時から広島県の親戚のもとで育てられた。
中学を卒業後直ぐに働き、結婚後、学びたいと通信制高校、その後調理師学校などにも通い、
茶事の世界に入ったのは40歳の時。
今では日本で数少ない茶事出張料理人である。
現在、千葉県に住まわれている。

70歳を機に、「茶事」に人生をかけた全国行脚の旅だ。
車に茶事一切の道具を積み込み、春夏秋冬年4回、
自ら運転して富山、琵琶湖、岡山、京都、会津へと向かう。
茶事2
行く先々で地元の人に話しかけ、茶事に誘う。肩書きなんかは関係なし、
どんな方にも同じ心で楽しく無心で茶事ができるか、模索の旅である。
見知らぬ人に話しかけて茶会を開く。
茶事3茶事4
茶事に人生をかけている人は多くいるだろうが、ここまで考え、行動する方はただ一人であろう。
懐石に使用する食材は地元の方から調達する。
茶事は初めての人ばかり、4時間にも及ぶ茶事に尻込みする人もいる。

限られた時間、制約の中で出来ることを悔いずに行う、最善というのが茶事の本分。
場では生の自分が出るので未熟さも無学さも一瞬のうちに暴露される。
その世界が反対に心地いいという。
野宿もする。自然に自ら歩み寄る、そこで茶事を行う。
それは彼女にとって最高の舞台である。
修正茶事5

利休が亡くなった時と同じ年齢になった。
利休が生き長らえていればどんな茶事をしたであろうか?
命と命を通わせる茶事とは・・・

京都大徳寺瑞峯院の前田和尚を訪ね問う。
利休の妙喜庵待庵の写し、平成待庵の茶室。
和尚は「花一輪に飼いならされていったら」と言う。
半澤さんは何度も頷いていたが、どう解釈すればいいのか、

花一輪と言えば、利休が秀吉に見せた朝顔の逸話を思い出す。
利休の茶の湯の特色は、花は最高の一輪に集約させることにあった。
和尚はそれを引用したのではないか!
「茶事は“一期一会”、その場その場、一瞬一瞬に最善を尽くすことを常とする。
そしてそれを感じ取れたらいいのだ。而今に生きる」
追加2
私はそう解釈したのだが、 果たして?

究極の茶事をしたいと再び旅に出る。
「一期一会、行きずりのご縁は冥利につきる、命に限りある、その切なさを背中に
人と自然と優しく対峙したい、その中に茶事の世界がある」
冬の奥会津でそれを実感したという。
茶事7茶事8

彼女の茶事の真髄を極めようと、ひたむきに求める心、姿勢もさることながら、
道を通して自分という人生の生き様に感銘を受けたドキュメンタリーだった。
どの道でも極めるという道程は苦難である。
どうかお体を大切に。
※写真はNHK放映のTVから撮影
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[ 2016/06/30 06:09 ] コラム | TB(0) | CM(0)